重なる身体と歪んだ恋情
ずっと歩いて洋服も買って。
「そろそろ帰りましょうか」
そう言われて。
「……そうね」
私は名残惜しそうに答えてしまった。
でもいつまでもこうしていられないのも事実で。
「それでは駅まで戻りタクシーを捕まえましょう」
そういう約束だったから。
私は列車でも構わないのに。
タクシーに乗って揺れる窓から外を眺める。
ガタガタと揺れる車内から見える夕日は同じようにガタガタと揺れて。
あの家に帰る。
だけど隣を見れば如月がいて。
意味もなく大丈夫、
なんて思いながらまた窓の外を見つめた。