重なる身体と歪んだ恋情
千紗
この家に来てこんなにたくさん話したのは初めてだと思う。
如月は私が話す一言一句漏らさず聞いて答えてくれる。
こんなことを嬉しく感じてしまう私はおかしいのかもしれない。
彼はまだ結婚してなくて、名前は司。
両親は亡くなられたようだけど、弟が一人いる。
これで彼のすべてを知った、なんてことは思ってないけれど。
でも、素直に嬉しいと思った。
彼は私を無視したりしない。
私を見て私の事を考えてくれてる。
それが彼の仕事だと知ってるけど、それは私にとってとても救いだ。
「……紗様」
上から如月の声が落ちてくる。
「千紗様」
なかなか目が開かない。
私はいつの間に寝てしまったのかしら?
それよりも小刻みに揺れる身体。
ここは一体……?
そっと目を開ければあたりは暗くて。
「千紗様、もうじき着きます。起きられますか?」
その声にパチリと目を開けた。
横になった景色。
私の頭の下には見覚えのあるズボンがあって。
「ご、ごめんなさっ!」
慌てて体を起こすと、
「痛っ」
「――っ」
ゴツン。
思いっきり如月の顔と私の頭がぶつかってしまった。
如月は私が話す一言一句漏らさず聞いて答えてくれる。
こんなことを嬉しく感じてしまう私はおかしいのかもしれない。
彼はまだ結婚してなくて、名前は司。
両親は亡くなられたようだけど、弟が一人いる。
これで彼のすべてを知った、なんてことは思ってないけれど。
でも、素直に嬉しいと思った。
彼は私を無視したりしない。
私を見て私の事を考えてくれてる。
それが彼の仕事だと知ってるけど、それは私にとってとても救いだ。
「……紗様」
上から如月の声が落ちてくる。
「千紗様」
なかなか目が開かない。
私はいつの間に寝てしまったのかしら?
それよりも小刻みに揺れる身体。
ここは一体……?
そっと目を開ければあたりは暗くて。
「千紗様、もうじき着きます。起きられますか?」
その声にパチリと目を開けた。
横になった景色。
私の頭の下には見覚えのあるズボンがあって。
「ご、ごめんなさっ!」
慌てて体を起こすと、
「痛っ」
「――っ」
ゴツン。
思いっきり如月の顔と私の頭がぶつかってしまった。