重なる身体と歪んだ恋情
「……大丈夫、ですか?」
顎に手を置きながらの如月の台詞。
私はと言えば額を押さえながら、「大丈夫、です」と何とか答えて。
「ごめんなさい」
そう付け加えると如月は「いいえ」とすぐさま返してきた。
「千紗様が謝ることではありません。私の注意不足。千紗様こそお怪我はありませんか?」
普通なら怒っていいと思う。
それでも如月が怒らないのは私が奏さんの妻だから。
そして私の面倒を見るのが彼の仕事だから。
分かってる。
けど、
「無いわ。ありがとう」
嬉しくて。
何故か頬が熱くなっていくのを感じた。