重なる身体と歪んだ恋情

ノック音が聞こえる。

それでも眠くて返事も出来ない私。


「千紗様、おはようございます」


あぁ、小雪だ。

だけど眠くて、ドアに背を向けるようにして寝返りを打った。

すると小雪の声もノック音も聞こえなくなって。

また眠りの淵に落ちていく。

けれどまたノック音が響いてきた。

さっきより大きめの音に変えて。

そして、


「千紗様、朝食のお時間ですがどうなさいますか?」

「――っ!?」


如月の声に飛び起きてしまった。

窓を見れば太陽の光が絨毯を明るく照らしてる。


「な、何時なの!?」


慌ててそう聞くと、「もうすぐ8時になります」なんて!!

寝過ごしたわ。

完全に寝坊の範囲。


「ごっ、ごめんなさい! まだ支度が出来て無くてっ」


それどころかドアの外にすら出られない格好。

急いでベッドから下りて手櫛で髪を整えてガウンを羽織って――。


「かしこまりました。お支度はごゆっくりどうぞ。小雪は入ってもよろしいですか?」


その声に「えぇ」と答えるとドアが開いて、


「おはようございます。千紗様」


頭を下げる小雪の姿だけが見えた。
 
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