重なる身体と歪んだ恋情
「このまま中庭に。ささやかですがパーティーの用意をしていますので」
なんでもないことのように口にする彼。
中庭もあるなんて、この家はどれだけ大きいのかしら。
「あぁ、部屋は後で如月に案内させます。使用人の紹介もおいおいと言うことで」
「……はい」
私の部屋が用意されてるらしい。
その台詞はかなり私に安心を与えてくれた。
夫婦だから部屋もなにも一緒で、なんていわれたら窒息死してしまうかも。そう思ってたから。
「寒くありませんか?」
「えっ?」
驚いて顔を上げた瞬間、彼はタキシードの上着を脱いでそっと私の肩に。
「パーティーは外ですから。でもその格好は似合いませんね」
確かに4月とはいえ、風が吹けばまだ肌寒い。だから、
「後で家のものにショールでも持って越させましょう」
彼の声に「はい」と答えておいた。