blazing sun
「ほぇ~・・
こんな所もあるんだぁ!」
玲が飛び降りた先は今さっきの所の建物と同じ建物の造りだったがその周りを水が流れていた。
あちらこちらに水の通る道が作られていて、まるで”水の都”のようだった。
キラキラと太陽の光で輝く水にぼォ~っと見入る。
「はっ!こんな事してる場合じゃ無い!探さなきゃっ」
止まっていた足を進める。
その頃司令塔。
『禮様!』
「はい?どうしましたか?」
椅子に深く座る男が電話を取った。
『怪しい、見かけぬ奴を発見しました!恐らく侵入者で間違いないはずです。』
「侵入者?」
『はい!帽子を被っていたので顔は分かりませんが黒いコートに黒い帽子、白いマフラーを身に着け、背に身長ほどの長さの刀を持っている背の低い少年です。』
「何処へ行きました?」
『”北東”の敷地へ逃げていきました。』
「そうですか……」
『力が及ばなくてすみませんでした。』
「気にする事ではないですよ?…侵入者は強かったですか?」
『…はい。大人数で取り囲んでも焦る様子は全くと言っていいほどありませんでした。』
「分かりました。連絡を待っていてください。」
男は返事を待たずに電話を切った。
「どっこにも居ないなぁー」
玲本人は未だに予想以上に広い敷地内をウロウロしていた。
『全隊に指令します。』
放送が鳴り響く。
『侵入者を発見しました。一番隊は侵入者の追跡を。その他の隊は各隊の警備を…』
「げっ!やっぱりか!」
放送は隊の指示から玲の特徴を言い始めた。
『帽子を被り、背に刀を背負い黒いコートを着ている・・
「帽子とか取ったら分からないかな?」
・・・少年です』
「ブッ! ゴホゴホッ」
噴出す玲。
後で締めたる…と言いつつ玲は足を速めた。
「いたぞーーーーーっ!!!」
「わっ!?やっべ!」
橋の上に居た玲は前後を挟まれてしまい逃げ場が無くなってしまった。
そこに男が背後を狙い刀を振りかざす。
ガッッ
刺さった先は、
橋。
余裕で避けた玲は素早く的確に相手の急所を狙い、スピードに乗った拳を繰り出す。
「ぐはあっ!!」
男は倒れる。
「んー弱いなぁ。一気にかかっておいでよ。」
軽い挑発に乗り一斉に襲い掛かって来た。
「ぐっ!」
「がはっ!!」
「キャア!」
男も女も容赦なく倒していく。
「ふー、終了っと。
…ねぇあんたさぁ。」
「ひぃ!」
まだ意識のあった女の胸倉を掴み引っぱり起こす。
「八城って名前の男がどこにいるか知らない?」
「しっ知りません!!」
「そっかぁ・・。じゃぁいいや、次行こうっと。」
引っ張ったために曲がってしまった女の襟元をサッと直すとその場を後にした。
「・・・・・・・・・・・・・これは。」
しばらくして一人の青年が橋の所へやって来た。
現場を見てその有様に驚く。
何十人と隊の者がゴミの様に倒れ伏しているではないか。
「螢(けい)……さん。」
近くに倒れていた女がその青年に声をかける。
「何があった。」
青年がしゃがみ込むと女はゆっくりと話しだす。
侵入者を取り囲んだ事。
何十人居ても歯が立たなかった事。
そして取り逃がしてしまった事。
分かる事全てを。
「そうか…。」
この人数を一人で倒したのか・・。
「・・・・・・・・甘く見てはいけないな。」