blazing sun
それから
大人しく様子を見ていた螢が玲を取り押さえ捕獲。
司令塔の禮様という一番偉い人の所へと連れて行かれた。
「可愛い侵入者ですね。」
一番初めに言われた言葉がそれだ。
は?と嫌そうな顔を向けるが気にする様子もない。
禮様というらしいお偉いさんは顎の髭を触りつつ椅子に深く、少しのけぞるように座っていた。
「で、玲とやら。なぜここに忍び込んだのですかねぇ?」
皆が、特にその理由を聞きたがっていた八城が玲を見る。
「私の知人を傷つけたから。八城ってやつを殴ろうと思った。」
「それは聞いた。もっと詳しい事を話せよチビ。」
「フンッ!」
螢が早く話せとあおるが、両手を後ろで縛られたまま胡座をかいて不貞腐れてしまう。
「身長高いのが偉いんじゃないぞ。勘違い野朗の螢君。」
「てめぇ・・・ズタズタにしてやろうか!!」
「ま、まぁまぁ。落ち着いて。い゙っ!?」
仲裁に入ろうとした八城の脳天に拳骨が落ちる。
「ハァ・・・貴方達落ち着きなさいな。
玲さん。理由を話してください。それによっては貴方を解放します。」
「ハッ、私に帰る所なんて無いし。ココには消されるの覚悟でちゃぁんと来てますんで。」
「いいから話なさい。」
「・・・・・ハイ。」
威圧に負けた玲。
「私は”町”の方に住んでいる者です。」
まだ現世に行けない魂が一時的に居る場所の事をそこに居る人達は”町”と呼んでいた。
「死んでこちらの世界に連れて来られて、直ぐには現世に転生出来ないからここで暮らすようにと言われました。
けれど、私は住む所が在りませんでした。
現世に居た時に親より先に死んでしまったからです。
私は一人でずっとつまらない日々を過ごしていたんです。
ある日、私の元に女の子が一人やってきました。」
『ねぇ、一人なの?』
『・・・・・・。』
『そんな所にいても詰まらないでしょ?』
『・・・・・・。』
『ねぇ一緒に遊ぼう!ほら涙拭いて!行こう。』
『いい・・の?』
『もちろん!』
「その子は親と一緒だったけれど、毎日私の所に来て遊び相手になってくれたんです。
まるで家族の様に接してくれました。
それから何年か経ちました。
いつもの様に女の子と会いました。
けど、その日は泣いていたんです。
いつも、私の事を思って私を励ましてくれていていつも強かったその子が…泣いていた。
理由を聞くと八城と言う男に一目ぼれし、数年、やっと気持ちを伝えた、と。
その返事がその子を傷つけた。
さすがにそれ以上は言いたく無いとまた泣き出しました。
私はその現場を見ていた人を捜しまわりやっと見つけ、やっと現状が分かりました。
八城・・・あなたは残酷な言葉で切り捨てた。
ただ好きと言う気持ちを伝えただけなのにあそこまで言うなんて最低だと思います。
その子はもう現世へ転生の為に行ってしまいました。
そして私はまた一人になった。
一人でない心地よさを知ってしまった。
今更一人で生きていくのは寂しい。
転生までまだまだかかる。
なら、殺されても構わないから一発、と思い今に至ります。」
じとぉ~~っと皆が八城を見る。
「あ・・はは。」
「お前が元凶かぁ~。」
ボキッボキッと指を鳴らす。
「ひーっ落ち着けよっっ螢!」
「ああ゙ん?」
「螢、八城の説教は後にして・・・、玲。」
「はい?」
「”町”に戻っても一人でしょう?」
「そーですが?」
「ここで仕事、やってみません?」
「「「は?」」」
「貴方の腕ならこなしていけますよ。」
ニッコリと笑う禮は何だかすごく、別の意味で怖かった。