星に願いを




パーティの途中退席した星子を、悠は壇上から見ていた。




―こんなに早くに発表になるなんて-



アメリカに行くことは前からわかっていた。


でも通常の出向期間は1年間のはずだった。



あれから何度も話し合いをした白鳥社長から、最後の話し合いで3年は絶対に日本に戻るなと言われた。


何故なら漆原の子会社を、白鳥物産も加わり新しく事業を展開することになっているからだ。


白鳥だけではなく、それにまつわる数多くの会社もこの事業に加わる。






その成功こそが俺の任務。


出発も急きょ年明けに決まった。


それを聞いたのは昨夜だ。


星子にどうやって説明したらいいのかと考えすぎて、結局昨夜は言えなかった。


私のせいだと自分を責めるだろう。


俺だって、やっと君を捕まえたんだ。


今更離れて暮らすなんて、出来やしない。


でも君との将来を約束するため、俺はこの事業を何としても成功させなければならない。

こうやって、色々な人に声をかけられて挨拶させられている間も、君を想う。
とにかく早く君の元へ。




悠は一通り挨拶を終えると、急いで会場を後にした。




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