星に願いを
「突然で驚いたでしょう。」


そりゃぁもう!との勢いで大きく頷いた。


「でも君の仕事ぶりを聞いて、我が社に必要な人材だと確信した。」


悠の自信たっぷりな言い方に、嬉しいやら恥ずかしいやらで、顔が真っ赤になった。



でも実際の仕事ぶりがどんなものなのか、本当にわかっているのだろうか。




「あの…質問してよろしいですか?こちらの会社ではどんな事を私に任せようとお考えなのでしょうか…。」


「まだ確定ではないけれど、社員の気持ちに寄り添ってほしいと考えている。」


「それはつまり…?」




「そう、心理療法士のような。」




星子はびっくりして言葉に詰まってしまった。


星子が本当になりたかった職業。


それが心理療法士。





学費を稼ぎながら夜学に通っていた星子には、心理療法士になるのは色々な意味でハードルが高かった。

そこでもう一つなりたかった職業・看護の道へと進んだ。




「お言葉ですが、資格を持っていませんし…。」


「取ればいい。」


爽やかにさらっと言われた。


「学校に行ってもいいし、通信教育でもいい。
この会社で相談役として働いてもらって、資格が取れた時点で心理療法士として活躍してもらえばいいのでは?」




今の気持ちをどうやったら表せられるのだろうか。


私にもわからないこの気持ちを…。




「無理なら、看護師でもいい。君のやりたいようにやればいい。とにかく…」


そう言って星子の正面に体を向けると、真っ黒い瞳で星子を見つめた。









「君にここにいて欲しい。」





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