星に願いを
委員会の打ち合わせに、茶道があるからと断った時だった。


茶道を習っていることを皆にからかわれ、ついカッとしてクラスメートを押し倒してしまった。


クラスの連中からは、日頃から「おぼっちゃまくん」とからかわれていた。


私立小学校だから他の奴らだってそこそこの奴だったはずなのに、㈱漆原が急激に成長したのも一因だったんだと思う。


普段くすぶってたまっていたものが、小さな暴力という形に表れてしまった。


かけつけた先生たちは、押された子の親父が国会議員だったため、おろおろとして理由も聞かず俺を怒鳴った。


何もかも嫌気がさした俺は、学校を飛び出し夢中で走った。


普段は電車通学だから、学校の周りの土地勘なんてあまりなかったのに、とにかく一人になりたくてあてもなく走った。


ふっと公園が目に入り、水道水を一気に飲んでベンチに座った。


冬だからか空気が澄んでいたせいで、夕焼け空がきれいに輝いていた。


そのオレンジ色がやけに眩しくて、涙がツーッと頬を伝った。


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