星に願いを
まるで小説にでも出てくるような話。


本当にそんな話、今の世の中であるんだ。


「私、悠さんが凄く好きだから嬉しいの。」


真っ赤な顔をして照れた美紀。


「そうか、おめでとう!よかったね。悠さん素敵な方だもんね。」




「でもね、実は…。彼は渋っているの。」


「え?だって彼氏なんでしょ?」


「そう思っているのは私だけかも…。」


と、先程まで真っ赤に照れていた美紀が、今度はしくしく泣き出した。




どうやら悠には想い人がいるようで、いわゆる政略結婚を拒否しているとのこと。




「でも会社同士はその話に前向きなんでしょ?美紀ちゃん可愛いから大丈夫よ。」


しばらく下を向いていた美紀が、ガバッと明るい表情で顔を上げた。


「そうね、そうよね!うん、大丈夫だよね。」




お嬢様はくるくる表情を変えるんだね。


やはり美紀は可愛いなと、泣き笑いの美紀を見て微笑ましく思った。

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