星に願いを
コンコン
「美紀さん、失礼します。準備はよろしいですか?」


おそらく会社の人であろう、スーツに身を包んだ男性が退院の手続きを終えて病室に入って来た。


「あらっ、創【はじめ】さんが来て下さったの?」


と美紀はベッドの横に近づく男性に声をかけた。


「はい、先程白鳥社長からご連絡を頂きまして。
これから丁度白鳥物産に出向くところでしたので、私が会社にお連れします。」


「ありがとう。」


そう言いながらソワソワする美紀。


「あの…悠【はるか】さんは?」


顔を真っ赤にして美紀が訪ねた。


「申し訳ありません。悠は今出張中でして…」


その言葉を聞いて、美紀は残念そうにうつむいた。


後ろで見ていた星子は、昨晩照れながら話してくれた“好きな人”が、その悠さんなんだと気が付いた。


(好きな人に迎えに来てほしかったんだね)


< 4 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop