星に願いを
「何考えてるの?」


頭上から聞こえた優しい声と共に、私のデスクにホットミルクティーが置かれた。


「ありがとうございます。恐縮です。」


「いや、俺も丁度飲みたかったから、ついでにね。
所で何か考え込んでいた?」


相変わらず私の心を読むことが上手な悠さん。


「あのー、健康管理室のプロジェクトメンバーっていつからいらっしゃるのでしょうか?」


「来ないよ。」


あっさり答えた悠。


「君が一人いれば十分でしょ。現に今も着々と進んでいるし。」


「いや、私はこうしたらいいかなって思うことを口にしているだけで…。」


そこまで言うと、悠さんは目じりを下げて「それがいいんだよ。」と笑った。



キュン。
(あれ?心臓が苦しい。不整脈?)




そんな星子に悠が耳元でささやいた。


「袴田さん、顔が赤いよ。」




キュンキュン。
(あ、やはり不整脈だ。
しかも顔が赤いなんて熱が出たのかも。
今日は早く寝なきゃ)



「所で…袴田さんの今夜の予定は?」


隣のデスクの椅子に座り直した悠が、星子と目線を合わせるように体を丸めて顔を近づけた。


そんな悠の行動に少し驚いた星子は、悠から視線をずらして首を横に振った。


「いえ…特には。」


「じゃぁ、歓迎会をやろう。」


「ハイ。…って誰の?」


「君の。」


「誰と?」


「俺と。」


「…二人?」


「そう。嫌?」


「い・いえ。ではお願いします。」


(あれ?私本当は早く寝たいんじゃなかった?)




自分でもハイと返事をしたことに驚いてしまった。


そんな星子を見て、悠は心から笑った。

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