星に願いを
「親父が昔、亡くなられた白鳥会長に色々助けてもらった。だから白鳥物産の言葉には逆らえないんだよ。」
漆原の事業が拡大し勢いに乗った時期に、急成長した会社をつぶそうと横やりが入り、窮地に追い込まれたことがあった。
…それはまさに悠が星子と出会ったあの時期の事。
息子の事を心配する余裕など全くなかったあの頃の親父
。
まぁ社員を路頭に迷わすわけにはいかなかっただろうからな。今だからこそわかる大人の事情。
「…俺が親父と白鳥社長を説得する。」
悠の目は真剣だった。
「お前…そんなに彼女の事…。」
創は思った以上に星子に執着する悠にビックリした。
いつもクールな悠が、ここまで情熱的になるなんて、確かに見た事がない。
「…何がお前をそこまでさせた?」
創の言葉を背中越しに聞き流し、悲しげな目をしながら悠は取締役室を後にした。