星に願いを
「そう。彼女は俺を深い闇の中から引きずりあげてくれた…。」
悠さんが『彼女』と言った。
そうか、わかった。
お酒のせいではない、ほんのり赤い顔した悠さんの姿に、その彼女の事好きなんだと、中学生の私でも気づいてしまったんだ。
―その彼女の事、今でも好きなんですか?―
聞きたいけど、勇気がなくて聞けなかった。
というより、聞かなくてもわかってしまった。
「俺、今日飲みすぎたな…。色々ごめんね。」
「いえ、話ができてよかったです。」
「君はまだここで休んでいていいよ。俺伝えておくから。」
そう言って会場に戻ってしまった。
包み込むような優しい雰囲気の悠さんに、私は恋をした。
笑っていよう。悠さんにわかってもらえるように。
これからもずっと…。