星に願いを
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「私が一人でつまらなさそうにしていたら、声をかけてくれた人がいてね、
それが悠さんだった。」
美紀は星子の顔をチラッと見て、また下を向いた。
「私ね、その日からずっと悠さんを想ってる。
悠さんの心には『恩人』のその人がいるってわかってる。
それでもいいの。私の固くなった心を壊してくれた悠さんは、私にとっても恩人なの。だから…」
美紀が恥ずかしそうに更に下を向いた。
「パパにお願いしたの。
20歳のお祝いに何もいらないから、悠さんと結婚させてほしいって。」
「私ってずるいよね」と言いながら、美紀は少しはにかんだ。
「悠さんはその人の事をずっと想っているんだって思ったら、何が何でも悠さんが欲しくなって。」
傍にいてほしい。
私を見てほしい。
悠さんの心がほしい。
「でも、だんだん欲張りになっていった。
そんな事、無理なのにね。」
星子は美紀の手をギュッと握りしめてつぶやいた。
「無理じゃないよ。」
そう言った星子に、美紀はフフッと笑った。