星に願いを


「何かお前疲れてないか?顔色がよくないぞ。
新しい仕事そんなに大変なのか?」


卓哉が星子の顔をマジマジと見た。



「そんなことないよ。気のせい気のせい。」


「俺様に嘘言ってもわかるんだな、これが。」



真っ赤な顔の舞香が二人の会話に割り込んだ。


「違うよねー。恋の悩みよねー!」


「マジ?彼氏出来たのか?」卓哉が身を乗り出して聞いてきた。


「いないよ、そんな人。舞香が適当言ってるだけ。」


「それ怪しい…。とうとうお前に出来たか…。


卓哉がうな垂れて下を向いた。


そうかと思ったら、急にジョッキを持ってビールを一気に飲んだ後、「おかわりー」と叫んでいた。


おかわりのジョッキを一口飲むと、星子の手を握った。


「俺、お前が幸せになってくれなきゃ嫌だ。この際俺の事は忘れていいから、彼氏とうまくやってくれ!」


「へ?」間抜けな返答をした星子に舞香がささやく。


「“俺”の事はとっくに忘れてるよね~?」


それを聞いた卓哉は、またしてもがっくりとうな垂れた。


二人のやり取りがおかしくてハハハっと笑った。


笑ったと自分では思っていたが、どうやら涙が出ていたらしい。



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