星に願いを
それから順調に日は過ぎた。
相談室にも徐々に社員が来るようになり、毎日が緊張と充実の日々となっていた。
夕刻になり、出先から戻ってきた悠が相談室に顔を出した。
「田中さん、袴田さん、どうですか?順調ですか?」
田中は気さくな人柄で、入社してすぐに社員の人気者になっていた。
「田中さん、体に負担にならない程度にまた行きましょう。」とクイッと飲むふりをした。
田中と悠は今までに何度か飲みに行っているらしい。
「今日は娘の誕生日でね、私はこれで失礼しますよ。ではまたクイッと行きましょうね。」
田中は嬉しそうにしながら相談室を出た。
ほのぼのとした田中の背中を見送った後、悠から視線を向けられた。
「袴田さん、今夜って何か予定ある?」
「…いえ、今夜は特にないですが。」
少し視線をずらして答えた。
「じゃぁ、今夜つきあってもらうよ。18時半に下の駐車場で待ってて。」
そう言うと、すぐに部屋を出て行ってしまった。
星子の顔はほんのり赤かった。
―だめだ。今夜きちんと話さなきゃー
一瞬でも揺れた気持ちに気がついて、そっと心に蓋をした。