紫水晶の森のメイミールアン
　6歳と言うまだ幼い年齢ではあるが、重責を背負って大国から大国に輿入れして来たメイミールアン。幼い頃より選りすぐりの優秀な学者が家庭教師について、2人の兄王子達と一緒に学んできて、ラズナルフィ王国の言葉は勿論、近隣の主要な国の言葉7カ国語を読み書き会話する事が出来、高い教養を身につけて来た。

　志さえ決まれば、その目的に向って突き進む勇気や知恵も持ち合わせており、決して非力で無能な人間ではない。むしろその逆のとても優れた娘だった。

　自分の境遇に絶望して打ちひしがれたのは、石の家の前に置き去りにされたあの時だけ。今は、アメジストのような淡い紫色の瞳をキラキラと輝かせて、懸命に生きる事を決めた少し大人びた小さなメイミールアンがいた。

　先ずは住まいを整えなくては！！翌朝から、小さなメイミールアンは王宮通用門付近に行っては、暇そうな人足に声をかけて、王宮の一日の賃金の二倍払うからとスカウトして、石の家の修繕を頼んだ。修繕で余った木材で、簡単な大きめのテーブルと椅子と、机とベッドを作って貰った。

　石の家の台所には塞がれていて、気付かなかったが井戸があり、水質も大変良い物だと言う事も分かり、飲料水や生活水の心配も無くなった。

　すぐ近くには、温泉が湧いており、後宮殿に大量の湯を供給しているが、人足のアイデアで、そのおこぼれを頂くように、源泉から浴槽まで木の樋で湯を引いてもらい、いつでも適温の湯を使えるようにもなった。

　必要な物は値段が張るが、王宮に出入りする商人から購入した。何か物が必要な時は、王宮通用門まで行けば、あらゆる人が溢れ、何でも手に入るという事も学んだ。根気よく値切れば安く購入出来る事も学んだ。　
　
　暫くすると石の家が、菜園の近くにあり、少し歩けば菜園労働者の居住地がある事が分り、菜園労働者から薪や食材を分けて貰う事になった。
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