紫水晶の森のメイミールアン

第4話　名もなき花の名付け人

　急に環境が変わってゆっくり休む事も出来ず、食事も偏った粗末な食べ物ばかり摂っていて、疲労はピークに達していた。

　墜落睡眠のようにいつの間にか寝入ってしまい、気がつけば上質のマントを掛けられ、その姿を面白そうに傍らで観察されていた。

「………………」

　描けてもらったマントがあまりにも柔らかで温かくて、とても良い気持ちになってグッスリと寝てしまった。あまりにも深い眠りだったので、暫くの間寝ぼけてしまって、自分が何処にいて、何をしていたのかも思い出せなかった。頭がゆっくりと回転し始め、ようやく自分は王宮図書館に居て、部屋の片隅に座り込んで本を読んでいるうちに寝てしまった事を思い出した。

「あ……。」

「やあ……お目覚めかな？」

　上質の衣類に身を包み、かなり上級の身分の高い人だと感じた。年は一回りぐらいお兄さんだろうか？髪の色はこの国に多い明るい茶褐色で、血統の良さそうな整った上品な顔立ち、そして珍しいなと思ったのは瞳が金色だった事。初めて見る色。そしてそれがとても美しくて、暫くウットリと見とれてしまった。
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表紙・目次

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