紫水晶の森のメイミールアン
リリカルド王国の王女とは、輿入れ時の挨拶の儀の時と、歓迎レセプションの時に会った事があるが、ベールをまとっていた為顔は分からない。王女の方も終始俯いていたので、互いに顔を合わしても分からないかもしれないなと思った。
成人を迎えたばかりの当時16歳だったエメリオスにとって、6歳の娘はとても幼く、正妃にだなんて飛んでもない話しの様な、全く考えられない気持ちだった。殆ど記憶にも残っていない。
もしかしたら、西の外れの石の家で餓死して白骨化してるのではないか?と恐ろしい光景が浮かんでくる。万が一生き延びていたとしても、想像したくない気持ちだ。だが、放置しておく訳にはいかない。
家臣任せにはしておけない。数名の家臣を引連れて、内々に様子を見に行く事にした。公に一側妃を王が訪問すると言うのも問題があるので、大きなスカーフを被り、目元だけ出すように口元を隠し、内侍内官長になりすまし側近数名を引連れて訪問するという事にした。