君の隣で。


彼女の手は何て言うか…優しかった。

全てを包みこんでくれるような優しい手。

こんな俺を怖がらずに接してくれる彼女は
俺の事をどう思っているのだろう?



「あんたは俺の事は怖くないのか?」

すると、彼女は驚いた顔をして
「どうして?」
と、言った。


どうしてと言われても
昔から目つきの悪い俺は人が近寄ってくることはあまりなかった。

「ねぇ なんでそんな事聞くの?」

彼女のその真っ直ぐな瞳に俺は…

「いや、なんでもない」
と、答えてしまった。

別に彼女を信じていない訳でもないし、いつか知られることなら言ったって構わないのに

彼女には知られたくなかったんだ。

それくらい、俺は彼女の事が好きになっていた。

まだ、名前も知らない彼女を。


あれ?
名前?


「どうしたの?」

「なぁ」

「何?」

「あんたの名前…何?」




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