Sweet love‡Bitter kiss 【短編】
『何怒ってんの?』
視線を合わせないまま、天井を見つめる直哉に苛々した。
梨華子さんに呼ばれて放った事を根に持つような奴じゃない。
態勢を変えてベットに向き直った時、やっと直哉が口を開いた。
「祐輔が行った後大変だったんだからな!
平澤に尋問されるは、責められるは…。俺だって答えられない事もあるだろー…。」
直哉には悪かったけど…―
嬉しかった。
紗由が俺の事を気にしてるって事実…。
ヤキモチかもしれない言動に… 心が動き出す。
『あっ、まじで?
わり〜。』
言いながら、口元が笑ってた。
紗由の中にまだ俺が居るって事が、期待をさせる引き金になる……
「平澤さぁ…。
梨華子さんの事何?ってしつこくて。一応バイトの仲間で通しといたけど……。」
紗由が問いただしてる姿が目に浮かんだ。
少しだけ視線を下げながら、左の頬っぺただけが膨らむ癖。
いじけた時だけ見せる… 顔。
「平澤勝手じゃね?自分だって彼氏居るじゃん。
祐輔も放っておけって…。」
携帯の画面に紗由のアドレスを表示した所で止められた。
パタンって2つ折りにされた携帯は…、直哉の手の中…―