Sweet love‡Bitter kiss 【短編】
教室の窓からは夏特有の入道雲。
白と水色が混ざり合った空。
金色の太陽が窓ガラスに反射して、左腕をじりじりと焦がしていく。
高校3年生の夏は早い。
紗由と付き合い出したのは1年前だったから、夏が来ると思い出してしまう。
1年前の夏…。
汗を流しながら2ケツした毎日。
学生だから当然お金もなくて、でもいつも楽しかった。
溶けかけのアイスは形を変えて。
扇風機からは温い風が流れる。
俺と紗由は風の取り合いをして、扇風機が動く度に一緒になって移動してた。
今思い返すと… 普通の事しかしてなかったけど、幸せだったんだ。
何か刺激を求めるより、毎日を笑いながら過ごす事。
失っちゃいけない事だったんだなぁって、後悔しても遅いけど…――
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