Sweet love‡Bitter kiss 【短編】
涙を拭いてやれなくてごめん。
抱きしめてやれなくて…、ごめん。
梨華子さんを好きになれなくて… 本当にごめん。
年期の入った境内の屋根の下…。
不規則な雨の音を聞きながら、隣に立つ梨華子さんの体温を感じてた。
切なくて、苦しい胸の痛み。
こんなにもたくさんの人の中から、俺を選んでくれた事……
絶対に忘れない。
梨華子さんが考える程、理想の男なんかじゃないけど。
これからの自信に繋げていけるように… 雨が降る度梨華子さんを思い出すよ。
「松…。 あの彼女に伝えなよね。
あたしの想い、無駄にしないでよ。」
『あー…、うん。
えっ…、今?!』
涙を拭いながら指を差されたのは、俺の鞄。
「早く!あたしの前でしてよ!」
って言いながら、腕を揺らしてくる。