Sweet love‡Bitter kiss 【短編】
部屋から流れる音楽は…、紗由との思い出の曲だった。
俺達はカラオケが好きで、よく2人で行っては大騒ぎして。
最後の締めには…どちらからともなく、この歌を歌ってたんだ…―
「ゆんちゃんのせいで、弘海くんが怒るんだよ…?
紗由達…、喧嘩ばっかり。
でも… でも。」
話す声が震えてた。
涙を流しながら、俺を叩きながら…。
一生懸命話す紗由が、やっぱり愛しくて…―
俺には、紗由しか居ないんだって… ドキドキ鳴ってる鼓動が証明してる。
「でも…。
別れてからもゆんちゃんを忘れられない紗由が、1番ずるい!!」
『…紗由。
もう… いいよ。』
紗由の背中は、泣き過ぎたせいでヒクヒク言ってる。
喉からは鳴咽が漏れて、今まで見た事がない程…、今にも崩れ落ちそう。
『俺にしとけよ。
もう… ずっと一緒に居よう。』
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