Sweet love‡Bitter kiss 【短編】
ミーン.ミーン.ミーン.
耳に纏わり付く蝉の声。
机に突っ伏していた俺は、焼けるような太陽の暑さで目を覚ました。
授業をしていた先生は、いつの間にか涼しい職員室に帰っていて…
教卓に集まるのは、下敷きで扇ぐ女子の集団。
季節は本格的に夏に突入していて、窓に反射する陽射しに侵されていた。
「俺さぁ〜、これ以上焼けたらやばくない?」
声の主に視線を移すと、人の倍汗をかいてる直哉。
坊主頭にこんがり焼けた小麦色の肌が、より一層人を近付けなくさせている。
『…プッ…ククッ……
お前それ以上黒くなったらやばいって!!』
「うっせ!!」
いつもみたいに直哉とバカやって、いつもみたいに笑い合う。
夏の暑さが… 焦がすような情熱を連れてきていた…―
俺達の――…。
暑い夏。
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