ねぇ、好き。上
「いたいた。彼氏なんてアンタには必要ないわ。たいして可愛くもなければ、何も取り柄のないアンタに彼氏なんかいらないわ。アンタなんかと付き合ってもどうせすぐに捨てられるのよ。今までそうだったんでしょ。私は、アンタなんか必要ないわ。いらないわ」
必要ない…?
知ってる。
あたしなんか、誰にも必要とされてないもんね。
でも、1人だけ必要としてくれる人いるもん。
幹也くんがその1人だもん。
可愛くもなければ、何も取り柄なんかない。
ないよ、
なんにも。
お母様だって、何も、ないくせに…。
「…」
「無視するのもいい加減にしなさい!」
パン!
痛いっ…
「ちょ、ちょっと!」
幹也くんがあたしとお母様の間に入ってきた。
「アンタ、何よ」
「どうして、ビンタするんですか!?彼女、可哀想じゃないですか!
どうして、そんなひどいことを言うんですか!?」
「アンタには、関係ないわ」
「…関係ないですね。でも…」
「…」
「でも、俺は彼女の彼氏です!」
「だから、何?」
「え…」
「も、もういいよ!ね?だから、今日はありがとう。幹也くん、またね」
「えっ、岩佐」
「お、お母様これからは気をつけますね。じゃあね、幹也くん」
「え、あ、あぁ…おやすみな」
「うん、おやすみ…」
本当は、行ってほしくなかった。
ずっと、そばにいたかった。
幹也くんといると、なんでも忘れられたから。
だけど、ずっとココにいると…
幹也くんまで、傷つくから…
だから、あたしは幹也くんを遠ざけた。