ねぇ、好き。上
「ウチが本当ですよ」
杏子…
杏子は、恋の為なら親友でも犠牲にできるんだね。
ひどい人間だね…
「そうなの?」
と、先輩が私に聞いてくる。
「そうです」
答えたのは私ではなく、杏子…
「そっか…。千尋ちゃんのこと好きなのに、そんなことしちゃダメだよ?
もう“好き”じゃなくて“好きだった”だね…
でも、ショックだなぁ…。千尋ちゃんがそんなことするような子だったなんて…」
先輩、信じてよ…
違うのに…
違う…のに…
私の気持ちは無視?
どうして、杏子のことばかり信じるの?
どうして私のことは信じてくれないの?
どうして、杏子…
私は、先輩には信じられず…
杏子には裏切られ…
もう、私の心はグタグタだ。