ピアスに恋した少女
*第1章*
裏切り
重い瞼をゆっくりと上げる。
目の前は白い天井。
肌に触れている白いシーツ、布団。
そして横を向けば、彼の姿がないことに気づく。
身体を起こそうとすると、下半身に痛みが走った。
その痛みを堪え、あたしは布団から出る。
「修也(シュウヤ)?」
トイレ、バスルーム、ベランダ、玄関。
部屋を隅なく探すが、やはり彼はいなかった。
再びベッドに戻ると、枕元に1枚の紙が置かれていたことに気づいた。
【処女のわりには上手かったよ。部屋代払っといたから。修也】
すぐさまあたしは、椅子の上にある自分の鞄から財布を取り出した。
「ない……」
確かに昨日の夜…彼に抱かれる前にはあったのに。
あたしの財布には、1円すら入っていなかった。
――騙されたんだ、あたし。
ようやくそれに気づいたあたしは、その場に崩れ落ちた。
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