Endless story in正員館 ~男装女と寡黙男~
「煙草の葉なら…これ」
そう言って男の人は懐から煙草の葉を取り出した。
「早く言ってくれないと……貸して下さい」
「先に答えてくれ……なぜ、そんなことをする?」
「私の父上が言ったんです。『困っている人がいたら必ず助けろ』と」
「じゃあ、兵士に追われている男でも?」
「はい」
男の人は驚いた様子で私を見ていた。
「さっきの兵はあなたの追っ手でしょう?」
「なぜ……分かったんだ?」
「勘です。なんとなく分かったんです」
さっき医者を呼ばないでくれって言ったので、分かった。