東京へ 〜僕の夢を乗せて
父と母の出会い
父の勤めていた会社に母はパートで入った


父は母の年下の上司だった

母は


始めての工場勤務で機械の音と匂いですぐにも辞めたかった


僕が


父に始めて会ったのは会社の運動会だった


母から


父はドラえもんに出てくる

ジャイアンみたいと聞いていたので


なるほど優しそうなジャイアンだなと思った 


それから何度か三人で食事をするようになり


僕は


父と二人になった時「母さんをもらって下さい」と頼んだ


父は「いいよ」と答えたと思う 


これじゃまるで僕が結婚するみたいだ 


母の気持ちを聞くのを忘れた


小さかった僕は


いつも母に「何処かで父さんを買ってよ」と困らせた

だって幼稚園の友達は

みんな父親がいてうらやましかった        

< 37 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop