東京へ 〜僕の夢を乗せて
僕は

東京の音楽の専門学校へ行く事を決めていた

この事を

父親に話すまでかなりの時間がかかった

うちは裕福な家庭でなく下には弟が二人いる

しかも下の弟は自閉症だ 
母親が毎日三男のジュンと関わっている姿を見て

大変さも分かっていた

でもそんな母に僕は

怒鳴ってしまった

「母さんはジュンの事ばかり見てるね。」


一つ上の次男が可愛そうに思えた


でも本当は僕自身が淋しかったんだと思う

ジュンは他動でことばも話せない

でも目から入るものにはかなりの興味を示した

僕が英語のビデオを見ている隣に来てすぐに覚えた

ことばは話せなくても英語で発音した

母とジュンがスーパーへ買い物に行った時

ジュンがきゅうりを見てキューカンバーと言い母を驚かせた


父親が遅番勤務の時はジュンを僕が風呂に入れていた


そんなある日一緒に風呂に入ったジュンが泣いた

その訳は

泡立てたシャンプーを髪につけウルトラマンになるとこを僕に見せたかったが


散髪に行ったばかりで髪が短くて立たなかったのだ


〔年令よりかなり幼いジュンの夢はウルトラマンに成る事だからね〕         

< 4 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop