東京へ 〜僕の夢を乗せて
僕は

あの家には必要のない人間と思っていた

だけどこうして離れ暖かい家族を思い涙がこぼれる


僕にとってあの家は大切な故郷なのだ


どんなに遠く離れてもこの空は繋がっている

心も通じあっている


母が

今の父と結婚しなければ多分僕はここにはいないだろう

母一人を残し上京する事は出来なかった


僕は本当の父親の話を母に聞いた事がない


それは僕が五才の時

「今日から君の父親になるからね」と言った


父のそのことばを今も忘れないでいる


幼かった僕はそうだ今日からこの人が父親だと決めた

母が言うには


今の父親に『母さんをもらってやってください』と僕が頼んだらしい


〔そんな事まったく覚えてません。〕


血のつながりってなんだろう


父曰く一緒にいれば家族なんだ


七才離れた弟が

僕と父親が違う事を十五才の時聞かされ


彼は僕が兄である事に代わりはないと言ってくれた


胸につかえていたものが取れ気持ちがスッキリした


いろんな思いを乗せた電車に


『東京』のアナウンスが流れた

< 5 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop