サワーチェリーパイ
「お前、その高田ナントカのファンなのか? 」
「幼なじみだよ」


気持ちの無い返事を返されて、晴斗はふてくされる。


でも、あまりに必死な様子にまた彼の妄想ネットが広がり始めた。


『もしかして、陽生は
 高田ナントカが好き
 なのか? 田舎から
 出て来たって言うのも、
 そいつに会うためとか。
 それじゃストーカーだろ、
 いや、もしかしたら
 幼なじみだけに結婚しよう
 とか約束してたりして、
 俺、マジで勝ち目無い
 じゃん。
 フィアンセだよフィアンセ』


広がり続けるアミを、駿府が断ち切る。


「ブツブツうるさいぞ、早瀬」
「なー、駿府。フィアンセって何だ? 」


すっかりフ抜けた顔でたずねる晴斗に、電子辞書を引いて見せる駿府。

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