サワーチェリーパイ
『パカパパーンとか
 音楽が鳴って、
 陽生がウエディング
 ドレス着て、バージン
 ロードを歩くんだろ。
 そんで、アイツが
 十字架の前に居て、
 あ、俺、邪魔しに行け
 ばいいじゃん。
 それ名案! 』


勝手な彼の妄想はさておき、いよいよ樹の出番を迎え、生徒達から無理やりな拍手が送られる。


音楽が流れると、不意に以前の練習風景や大会を思い出し、陽生は思わずなみだ目になった。


幼なじみとして、いつも一緒に居られた頃は、今の彼女に取って戻りたい時間。


目の前には、昔と変わらぬ樹の姿があり、手を伸ばせば届きそうなのにと、切なくなったからだ。



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