サワーチェリーパイ
「本当に、バカは遺伝するのよ」


食後のお茶を入れて、何気なく差し出す母。


「そうなんですね」


と返すしかない陽生。


「また何か強い衝撃でもあれば、バカが治るんじゃないのか? 」


晴斗の頭をコンコーンとしゃもじで叩く祖父に、父はすりこ木、兄は特殊警棒を持ち出す。


「止めろ! 余計バカになるだけだ! 」
「試してみようぜ、なあ、オヤジ、ジイちゃん」
「おう、秀才に戻れば大学にもいけるだろうしな」


こんな調子で、一家だんらん? は進み、晴斗は自分の部屋に陽生を入れる。
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