サワーチェリーパイ
アーリオのバイクが、陽生の住むマンションへ到着したのは、わずか10分後だった。


「悪いな、アーリオ」
「シッカリヤレヨ! 」


そう言ってウィンクをすると、ポケットの中からピンク色で正方形の物を取り出して、手に握らせる。


「お前……」
「ジョーシキ、オトコノ」
「カン違いし過ぎだぞ」
「ソナエアレバウレシイナー」


さっさとバイクに乗り込み、消えて行くアーリオ。


ポケットの中に例の物を押し込み、紙袋を抱えた晴斗は入り口で部屋番号を押すと、呼び出しを掛ける。


「おーい、俺、晴斗。具合でも悪いのか、差し入れ持って来たんだぞ」
『今、開ける』


オートロックが開錠され、急いで部屋の前に向かう。
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