サワーチェリーパイ
「おう、これ皆からの差し入れだ」


ドアの前で緊張を抑えながら声を掛けると、中からはやつれた陽生が顔を出した。


「悪いな、心配させて」
「顔色悪いぞ、お前」
「もう3日寝てない」


この言葉で、晴斗の顔色も悪くなる。


自分のせいで、寝られない程ストレスを掛けたのかと思ったのだろう。


「済まない、俺、友達なのにとんでもない事した」
「お前のせいじゃない、良かったら上がれよ」
「いいのか? 」
「おう、コーヒー位ならお礼に」


中に上がり込むと、部屋中は散らかっており、おまけにカーテンも開けられていないために、薄暗い。


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