サワーチェリーパイ
陽生はそれをボンヤリとながめながら、考え事を始める。


『こいつになら、本当の事を話してもいいのではないか? 』


と。


ここまで自分のために、何かをしてくれる人間と出会ったのは、東京に来て以来全く無かったという思いもあり、マグカップを目の前に差し出された瞬間、陽生はガタンと椅子から立ち上がった。


そして、ノートPCを晴斗の前に差し出す。


「なあ、これ読んでくれないか? 」
「何だよ」


モニターを見ると、そこには『love&cherry』と書かれたタイトルの小説があった。


「お前が書いたの? 」
「そう、ソウルダイナーの皆を登場人物にして」
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