サワーチェリーパイ
マウスを片手に、読み始める晴斗。


その内、夢中になったようで部屋の中にはクリック音だけが響く。


「おもしれぇ! 」
「本当にそう思うか? 」
「才能あんな、これ、何かのコンテストに出すのか? 」
「いや、これがあたしの仕事」


晴斗はこれまでのモヤモヤが晴れた顔になり、陽生を見て大きくうなづいた。


「だから俺達の事、知りたがってたのか! 」
「そう、済まなかった。今まで言えなくて」
「な、他にどんなの書いてんの」
「kiss&cryっていう携帯小説」

タイトルを言うと、ポンと手を打つ。


「あれなー、あの子も読んでた」


そう、第一話で登場したメニューが決められない晴斗に怒りを覚えて帰った女子高生舞ちゃん。
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