サワーチェリーパイ
「今日の数学のプリント、貸してくれ」
「いいよ、あ、でも一枚しか無いからコピーして」


駿府が差し出したプリントを受け取ると、近くの席に座り、カバンの中からノートPCを出す。


ボックス席の主達は、彼が何をするのかとその行動を凝視していた。


普通の学生であればカバンの中に、ノートPCなどまず入れていない。


「すみません、コーヒーをお願いします」


余裕の表情で磨朝にオーダーすると、ノートPCを立ち上げてプリントの内容を打ち込み始める。


「あいつ誰だよ? 」


三次は自分のガンが効かなかったと、ムッとしながら御花台の2人に尋ねた。


「キレイナオトコノコダネー、ミタコトナイネー」


マーティンは、横顔をのぞき込みながら口笛を吹く。


「編入生だよ、藤川 陽生って言う」


早瀬は何でもない様に言い、手元の計算に視線を戻す。
< 15 / 293 >

この作品をシェア

pagetop