サワーチェリーパイ
「何やってんだ? 」
「いや、チャイナドレスとかそういうんじゃなくて」


慌てて説明を始める晴斗に、不審な表情を向けるとボックス席に向かう。


「よお、皆」
「ヒサシブリー、ゲンキニシテタ? 」
「マーティン、この間の差し入れありがとうな」
「オンナノココマッテルトキ、helpスルノアタリマエー」


両手を広げて陽生に抱きつき、背中をポンポンと叩くマーティン。


普段の彼であれば、ほおにキス位はするのだけれど、さすがに晴斗の意中だと知っているからそこまではしない。


「皆にお礼だ、これ」


持っていた紙袋を開けて、中からクッキーを出す陽生。


それは手作りとおぼしき物で、1つ1つ大事に包まれている。
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