サワーチェリーパイ
「手作りクッキーなんて、女の子らしいな」


早速開けて食べ始める虹太、彼に取っては珍しくもないプレゼントだ。


「小麦粉とバターの混合率がいい、ただ、膨張率を考慮した成型をすれば良いと思う」


形を見ながら早瀬がそう言うと、アーリオは両目を覆って涙ぐむフリをする。


「マンマ……」
「ホームシックになってるみたいだね、アーリオのお母さんは今、イタリアだし」


駿府の説明で、ああ、とうなづく陽生。


「で、さっきから何を騒いでいたんだ? 」


その問いかけに、涙をぬぐいながらアーリオは説明を始めた。


「デートネー、youトハルトノ」
「ああ、その話かー……って、お前! 」
「悪い、でも皆に相談したくてよ」
「女子高生みたいだな、お前は」
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