サワーチェリーパイ
ようやく完成した『love&cherry』を、担当者に見せた時に陽生は致命的な一言を聞いたのを思い出す。


「haruさん、読者はあなたの飛躍を期待してるんですよ。今回の作品には、それがありません」
「飛躍って……」
「ただの恋愛じゃなくて、激しい恋愛です」


そんな経験も無い陽生には、とても書く事が出来ない世界。


「このまま掲載しますけど、本として出版して売れるかどうかは正直、分かりませんよ」
「次の話には何とか入れます」
「次があるかどうかは、この作品次第ですね」


厳しい言葉に打ちのめされて、打ち合わせ場所を後にしここへ来たというのに。
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