サワーチェリーパイ
三次は三次で、相変わらずお水のお姉さんと2人で缶ビールを片手にしっぽりした空気を周囲に放ってはいるが、目はあの2人を追っている。


「奴らが乗るぞ! 」
「おう! 」


全員が用意して来た双眼鏡で、2人の乗ったゴンドラをのぞく。


ここまですると、友情というよりもただのヤジ馬であるが。


そんな事も知らず、観覧車で向かい側に座った2人は、窓の外に広がる横浜の夜景に見とれていた。


「綺麗だなー、横浜って」
「俺、初めて乗ったけど楽しいよこれ」


コースターは苦手だが、こうした高い場所は割りと平気な晴斗を少し見直す陽生。
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