サワーチェリーパイ
「あいつら、そんな事まで」
「聞いた話だけどな、真面目なヤツほど怖い」
「勉強命だと思ってたのに」


そんな陽生が急に可愛らしく見えた晴斗は、そっと肩を抱く。


だが、彼はそれだけですぐに妄想ネバーランドに旅立ってしまう特異体質。


『ティンカーベルの
 魔法の粉で、俺と
 陽生が空を飛んで
 るよー。
 気持ちいいねー。
 ここでウェンディー
 の陽生にキスしちゃ
 ってもいい? 
 だって俺、永遠の
 少年ピーターパンだしぃ』


そーっと目を閉じて、唇を寄せようとした瞬間、ドアが開いてしまった。


「もう終りだぞ、晴斗」
「へ? 」


妄想にふける間15分が経過してしまい、渋々観覧車を降りる。


2人の様子を見て、6人の舌打ちが同時に聞えた。
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