サワーチェリーパイ
エスカレーターで2階に上がりレストランに到着すると、確かに土曜日の割りには空いていた。


そこは大きな窓の側にある席に案内され、メニューを広げた晴斗は目をむく。


「2000円~って、高くねえか? 」
「混んだ場所で待つよりマシだろ、それに美味しいと思う」
「俺、ピザでいいよ」
「どうせならコース料理にしよう」


陽生はコース料理をオーダーしてしまい、目の前に並べられたフォークやナイフの数の多さに溜め息をつく晴斗。


「苦手なんだだよな、こういうの」
「恥をかきたくなきゃ、練習しとけよ。高校生ならまだいいけど、お前が社会人になって、デートで来たら困るだろ」


そう言って前菜を器用に食べ始めると、すぐに注意をした。


「ナイフとフォークは外側から使う! 」
「えー、決まってんのかよ」
「当然だろ」
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