サワーチェリーパイ
「好きだ、陽生」


目を閉じて唇を近づける、陽生は逃げもしないでそれを受け止めた。


「悪い、こんな時なのに。お前の気持ち考えもしないで、俺……」
「いいんだ、ありがとう」


静かにそう言って、晴斗の背中に手を回すと抱きしめる陽生。


「今晩、一緒に居てくれるか? 1人じゃ多分、ダメだ」
「おう」


珍しく妄想もしないで、陽生と一緒にホテルの中に戻ると部屋を取る。


その間、2人はずっと手を繋いでいた。


24階のツインルームに落ち着き、ソファに座ると落ち着かない晴斗は冷蔵庫の中からビールを取り出そうとしたが、未成年だからと炭酸飲料にした。
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