サワーチェリーパイ
「リィナちゃんかー」


うらやましそうに呟く晴斗を残し、駿府も彼女に手を取られて行ってしまう。


残されたのは俺だけかと1人、壁の花を決め込んでいるとマーティン率いるバンドの演奏が始まった。


最初はノリのいいオールディーズで、皆が派手に踊りまくる。


陽生とアーリオが楽しそうに踊るのを見ていて、晴斗はヤケ酒とばかりにカクテルをあおる。


「荒れてるわねー」


磨朝がトレーを片手に、話しかけて来た。


「俺の相手をあいつに取られた」
「友達の彼女に手を出すほど、あの子はバカじゃないわよ。何か考えがあるんでしょ」


元気を出せと、コッソリとノンアルコールビールを渡して磨朝がキッチンへと戻って行く。
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